ちはやぶる
ちはやぶる
竜田川は古くから紅葉の名所と知られていた。
赤褐色の揚げ色に片栗粉の白い部分があることから、
紅葉が映える竜田川に見立てた。
千早(ちはや)振る(ぶる) 神代(かみよ)もきかず 龍田川(たつたがは) からくれなゐに 水くくるとは
[訳] 不思議なことが多かったという神代でも、こんなことは聞いたことがない。
竜田川の水を、紅葉(もみじ)の葉が紅(くれない)にくくり染め(しぼり染め)にするなんて。
詞書(ことばがき)に、紅葉の流れる竜田川を描いた屛風絵(びょうぶえ)を題として詠(よ)んだとある。
紅葉を浮かべる竜田川のさまを、くくり染めの織物に見立てた歌である。
枕詞 千早振る(ちはやぶる)
①荒々しい「氏(うぢ)」ということから、地名「宇治(うぢ)」にかかる。「ちはやぶる宇治の」。
②荒々しい神ということから、「神」および「神」を含む語、「神」の名、「神社」の名などにかかる。
「ちはやふる」(ちはやぶる)は「神」などにかかる枕詞として「神代も聞かず」を導く訳ですが、
枕詞を良く理解できない私としては、この歌は「神代も聞かず」から始まるほうが理解しやすい。